夜空に咲いた花火に歓声!!!

管理者 相原あや子

 松山まつりの前夜祭として、8月10日三津浜港で花火大会が開催されました。ここルンビニーは三津浜からさほど遠くなく、障害となる建物などもないため、庭から花火見物をしようということになりました。桟敷席もできあがり、後は午後8時の開始を待つばかり。
 ドーン、バリバリバリ、夜空に咲いた大花火! 「うわー、きれい」、「すごいなあ」、「オリンピックのマークみたい」、「ほおうー」、中には感激のあまり拍手をする人もいました。スタッフ手づくりのかき氷を食べながら、1時間の花火見物はあっという間に終わりました。
 翌朝、Kさんが「花火きれかったねえ」と言われ、「本当にきれかったねえ」と即言葉を返したものの、内心驚きでいっぱいでした。Kさんの痴呆は重度で、数分前の記憶も次々と消え落ちていく日常なのです。それなのに半日以上過ぎた昨日の花火の記憶はある。Kさんは昨日の花火に心から感動したのですね。
 この感動の記憶のあるうちに、何か形に残せないだろうか。急遽、画用紙やクレパスを用意し、みんなで花火の絵を描きました。そして、各々の感動の記憶の作品ができました。その作品は「ルンビニーにゅーす」に掲載していますのでご覧ください。

 

看護学生見学実習に来る


 去る4月16日、松山市内にあるM看護専門学校の学生5名と実習担当の先生が、半日の見学実習にこられました。
 看護職は従来は主に医療機関内で働くものとされてきましたが、近年、訪問看護の普及にみられますように、在宅での看護活動が活発に行われるようになってきました。それに伴い、看護教育の分野でも、平成11年度カリキュラムの改定があり、在宅看護論という新しいカリキュラムが組まれました。在宅看護論実習ということで、主に在宅看護ステーションでの実習が実施されるようになりましたが、今回の見学実習はその一環として行われたものです。
 ルンビニーには看護職が2名います。現在の制度では、グループホームに職員として看護職を置かねばならないという決まりはありません。しかし現状として、入居されているほとんどの方には糖尿病、高血圧等何らかの疾病があり、服薬もされています。また、熱が出た、皮膚疾患ができている、尿が混濁している、食欲が低下している等々、日々医療的視点で観察、介護しなければならないことが多々あります。そんな現状を勘案しますと、近い将来グループホームに看護職の雇用が義務づけられる、あるいは看護職を雇用することに対して介護報酬が加算されるようになるのではないかと思います。
 在宅分野の訪問看護や通所リハビリテーションでの看護職の活動の場に加えて、今後グループホームでやりがいを持って働く看護職が増えんことを願って、今回の実習生をお迎えしました。以下に実習後に先生からいただいたお手紙と、学生のレポートを掲載させていただきます。少ない時間の中で、病院や大規模施設とは違うグループホームの特性を学び取ってくださったことを、大変うれしく思います。
 
先生から
 グループホームルンビニーの見学の際は大変お世話になりました。相原さん(管理者)とスタッフの方々からとても丁寧な説明をしていただいたこと、また入居者の方々との関わりの機会を与えていただいたことから、学生たちは様々な視点で学びを得ることが出来たように感じております。本当にありがとうございました。
 
ある学生のレポート
グループホーム「ルンビニー」
 痴呆症のお年寄りが少人数で共同生活を営むグループホームとして「ルンビニー」が2月1日に開設された。
 設置主体は松山市内の医療法人。心の癒しを大切にしながら、尊厳を持って人生の最終段階を迎える場として、昨年9月から建設に取りかかった。「ルンビニー」とは、釈迦が生まれたとされているネパールの地名。
 
<設備及び構造>
2階建てで、1、2階は同じ造りとなっている。
それぞれに居室が9室ある。
共同のダイニングキッチン、和室がある。
9名の利用者に対して、8名のスタッフ(看護師、准看護師、介護福祉士、ヘルパー等)
バリアフリーである(各フロア全て)。
廊下、浴室、トイレ全てに手すりが設置されている。
仏教的な癒しを得るために仏壇が置いてある。
部屋にはベッド、タンスのみが設置されており、その他は入居者が使い慣れた物を持ってきてもらう。
外につながる扉は、扉を開けると音が鳴るようになっている。
屋内のデザインやインテリアは木材が多く使用されている。
 
<特徴>
 家庭的でゆったりとした環境で共同生活が送れるように工夫されている。
入浴時間は夕食後である。
スタッフは統一されたジャージ、ナースシューズを禁止し、普段着である。
みんなで野菜などを栽培し、食材にしている。
触発(その人の能力をひきだせるように関わる)を積極的に行っている。
 
<考察>
玄関を入ると、段差がなく、トイレ、廊下、洗面所、風呂場のいたる所に手すりが取り付けられており、安全面も考慮されていた。
部屋は全て個室で、入居者の使い慣れた家具類などを持参し、その人らしい生活空間となっていた。
ダイニングキッチンは8人位で使用できる大きなテーブルが2つ置いてあり、風船バレーができるくらい広く、ピアノもあった。
インテリア(テーブルや椅子、家具)、各部屋の扉や名札、廊下には木材が使用され、温かい雰囲気だった。
スタッフは統一されたジャージ、ナースシューズを着用するのではなく、普段着を着用し、スタッフも一緒に生活しているという印象を受けた。
入居者の生活スタイルとして、自分の好きなことを行ったり、お酒を飲んだり、たばこを吸ったり、制限のないマイペースな生活を行える、ゆったりとした時間が流れていた。
 
 
学生の実習日誌より
集団生活でありながらも、家庭生活をしているかのように、個人の意思が尊重されていた。スタッフの方が入居者個々の能力に合わせて、役割をもった行動がとれるように関わっていることを知った。
一番驚いたことは、飲酒が許可されていることであった。施設だからと禁止する理由はないとも思うが、ここまで「家庭の生活の場」が尊重されているとは思わなかった。

スタッフの方々は、入居者の監視役といった立場ではなく、一緒に生活している者として関わっていた。服装も配慮されていた。

静かで、ゆったりとした時間が流れていた。
居住環境や、スタッフの対応などあらゆる面で入居者のストレスを排除するように考えられていると思った。
内装は木製のものが多く、温かさを感じた。
痴呆のある方に対して、精神的なストレスを避け、なるべくその方に自由に過ごしていただくことが痴呆の進行を防ぐことに大切であることが分かった。
玄関には手すりがつけられており、廊下やトイレ、浴槽にも手すりがつけられていた。廊下は広く歩きやすいように十分なスペースが保たれていた。危険なものも置いておらず、安全面に配慮されていると思った。
入居者の部屋は全て個室になっていた。また、家具や必要な物等も入居者が今まで使っていた愛着のあるものを持参することで、家庭的な環境をつくるように心掛けているのだと感じた。
 
 
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