初めて迎える年末年始

管理者 相原あや子

 
 早いもので、ルンビニー家族が暮らし初めて一年が来ようとしています。初めて迎える年末年始をどう乗り越えようかと思案中です。まだ建物は新しいとは言え、日常隅々の掃除はなかなか行き届かず、大掃除らしきものもしなければなりません。各居室の掃除はご家族の協力をお願いして、出来る方は一緒にしていただくことにしています。
 
 楽しみごとも多い年の瀬、その始まりはクリスマスでしょうか。今、スタッフは入居者1人1人にふさわしいプレゼントを考え中です。寒がりの方にはひざ掛け、いつも戸外に出て洗濯物を干してくださる方には毛糸の帽子、読書の好きな方には本など、アイディアいっぱいです。当日はボランティアによるミニコンサートもあり楽しみです。目下、サンタクロースは誰が適役か、スタッフ間でワイワイ言っています。
 年末にはおせち料理をみんなで作り、31日は年越しそばを食べながら紅白歌合戦を見て夜更かしをし、お正月はおせち料理を食べゆったりと、どこの家庭とも変わらない三が日となりそうです。暖かい日に、近くのお寺で初詣ができればいいですね。
 
ご家族からのお便り
 
 Kさん(84歳 女性)は今年2月3日にご主人と娘さんに付き添われて入居されました。Kさんは記憶障害が著しく、入居日、ご主人と娘さんがご本人の知らない間に帰られた後、「父ちゃん、父ちゃん」と探されるのはご主人ではなく父親のことでした。現在50歳の娘さんも、Kさんの中ではある時は赤ちゃんに、またある時は小学生になります。そんな時、もちろんスタッフはKさんの世界を共有します。Kさんはよくソファでウトウト昼寝をされるのですが、目覚めた時、「M子(娘さん)はどこへ行ったんだろうか」と探します。その時の娘さんはKさんの世界では何歳ぐらいかを察知し、「遊びに行ったよ」等安心するような言葉がけをしていきます。
 昼間は比較的穏やかに過ごされるKさんですが、夕暮れ時から妄想が出現することがよくあります。そんな時は恐怖心でいっぱいになり、心許せるスタッフが常に側にいることを要求されます。1時間近く安心される状況でおられるとほぼ落ち着かれますが、今度は1人で就寝されることを大変怖がられます。「ねえちゃん(スタッフ)、一緒に寝てや」と言われ、夜中に目覚めた時も添い寝することが多々あります。
 Kさんは若い頃、ご家庭の事情で子守奉公など苦労されてこられたそうです。その後やさしいご主人との出会いがあり、娘さんと3人、幸せな家庭生活を送ってこられましたが、平成10年頃から物忘れが出現しはじめ、変形性膝関節症のためADLも低下してきました。入居前は週4回ホームヘルプサービスを受け、その時が唯一ご主人が介護から解放される時だったのです。ご主人がルンビニーに来られると、Kさんは「父ちゃん、どこへ行っとったん」とご主人の手を離さず涙声になる時もあります。本当にいい関係のご夫婦なのですね。
 それではご主人から寄せられたお便りを紹介させていただきます。
 
 「このような人生が送れるとは思わなかったよ。父ちゃんが真面目に努力してくれたからよ。いや、母ちゃんが一生懸命働いてくれたものねえ。」 口癖のようにこんな寝物語を繰り返していた夫婦だったのに・・・
 80歳の坂を越えたと同時、間もなくこの家に襲ってきたものは妻の痴呆という予想外のものでした。糖尿病が悪化して世話になった甥の病院でも、何分痴呆のことゆえ長くは居れず、ヘルパーさんにもお世話になりながら3年2ヶ月。藤原先生のお陰でルンビニー完成と同時に入居させていただきました。
 グループホームとは・・・・・何分初めてのことゆえに心配でした。それと妻はわがまま、多弁(特に痴呆になってから)な方だから、入居しても「帰る。帰る。」と大変だろうと予想していました。ところがルンビニーの皆様のお陰で、兄ちゃん姉ちゃんと甘え放題で迷惑をかけております。
 私も娘(出来の良い日本一の一人娘)に、「もし父ちゃんが痴呆になったら、ルンビニーに入れてやね」と頼んでいるところです。所長さんはじめスタッフの皆様、本当に気長くやさしくしてお世話してくださって感謝しています。やはり私は幸せ者です。
 
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