グループホームと仏教的癒し
医療法人ビハーラ 藤原胃腸科 藤原壽則
今思うこと
吉川 弘信
私は今年で39歳のまがりなりにもお坊さんですが、昨年まではバリバリのサラリーマンでした。元々実家はお寺というものに縁があまりなく、お坊さんといえば、ずっと別の世界の方々と思っていたのです。 生まれも育ちも高知で、たまたまある会社に入社し、たまたま松山に転勤になり、今のお寺の娘であった妻と知り合い結婚し、私がそのお寺を継ぐことになりました。昨年修行に行き、今年の3月に僧侶となり、たまたま藤原先生というすばらしい方とご縁をいただき、「ルンビニー」でお世話になりだしたのが、今年の4月16日からになります。 お釈迦様が説かれた仏教の根本的な考え方は、「一切の物事は固定的な実態をもたず、さまざまな原因(因)や条件(縁)が寄り集まって成立している。」ということ=因縁生起、すなわち縁起でありますから、その不可思議なめぐり合わせに私自身が驚いている有様なのです。 そのような経緯で、僧侶になりましたので、「お坊さん」というものを少し客観的にみることができるのかも知れないのが、今の自分のメリットかもしれません。 私の僧侶としての願いは、「信頼される人間」になりたいということで、平たく言うと、「なんだかあのお坊さんは、坊さんらしくないかもしらんけど、一緒にいるとホッとできるね〜」と思っていただける人間になることです。それには、一旦僧侶という衣を置いておいて、私も持っていたお坊さんに対する敷居、垣根を低くすることが大切だと思うのです。 その中で、この「ルンビニー」の家族の一員として、できることをこれから先も模索しながら、ひとりひとりの入居者さんと、お互いが向上でき、信頼できる関係を築きあげることが今のわたしの目標なのです。 入居者さんたちはもちろん私の大先輩です。その方々の今まで生きてこられた経験、ご苦労は100%知ることはできませんが、少しでもそれを家族が知ること、分かち合うことができれば、家族の糧になることは間違いありません。人間に無駄な経験はひとつもないのですから。