私が高市眷三さんに初めてお会いしたのは昨年の春でした。九十九歳と知りとても驚いたのを覚えています。その頃の眷三さんは、天気の良い日には車椅子で中庭を散歩したり、時にはボールで遊んだり。スタッフの声かけに「はい」「そうですか」「ありがとう」「はーはー(笑)」「ほほー」といつもうれしい返事をしてくれます。お風呂も好きで、ご飯もしっかり食べられ安定し落ち着いた日々を送っておられました。
百歳の誕生日まであと二カ月というある日、咳が出るようになり、肺炎を患ってしまいました。咳と高熱で眉間にしわを寄せとてもしんどそうです。しかし、治療を始めて一週間ほどすると咳や熱も落ち着き眷三さんの体から病気は消えていきました。そして百歳の誕生日をご家族、他の入居者様、スタッフと無事迎えることができました。病気が回復し久しぶりに車椅子に座っていただくことにした時です。「すがって」という言葉にしっかりとスタッフの首に手を回してくれた時は、とてもうれしく思いました。最近は、食欲も増し、以前の様に「ほほー」と笑ってくれます。
眠っている時も、口元がかすかに笑っている様に思えたりもします。これからも「おじいちゃん、調子がいいみたいよ」そんな言葉が一日でも長く続きますように。 |